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冬が来る街で、チャイと駄菓子が奏でる夜

冷蔵庫に並ぶ食材を眺めながら、今日の晩ご飯を決めた。ゆで卵と茹でたじゃがいも。なんとも質素だけど、これには理由がある。もうすぐ海外に行くから、冷蔵庫の中を空っぽにしないといけないのだ。お別れ会みたいな気分で、ひとつひとつ食べていく。

晩ご飯を食べ終えて、ふと頭に浮かんだのは「チャイとうまい棒が欲しい」という妙にピンポイントな願いだ。どうせもうすぐ日本を離れるのだから、駄菓子との最後のひとときを楽しむのも悪くない。外は寒いけど、こればっかりは諦められない。厚着して街に出たら、意外にも寒さが緩い。10度だった。冷たい風もどこか優しい。

コンビニでチャイとうまい棒を手に入れ、ついでにヤングドーナツもカゴに入れた。帰り道、ふわりとした甘い香りが漂うような気がした。まるで駄菓子たちが「行ってらっしゃい」と囁いているような気がした。家に戻って一口かじったうまい棒は、まるでボクの旅立ちを祝福するように軽やかだった。

冷蔵庫が少し片付き、胃袋は満たされる。そして心も、少しだけ準備が整う。僕らの街に今年も冬が来た。でもボクが向かうのは、冬とは無縁の土地だ。湿気と熱気の中で、全然違う季節を味わうことになるだろう。それでもきっと、どこかに冬の匂いを感じる瞬間があるはずだ。

2024/12/10