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診断書の「前回より悪化」の文字、でも回復への確かな実感

ボクの朝は、いつもマクドから始まる。毎朝4時、まだ外が暗いうちに家を出て、近所のマクドナルドに向かうのが日課だ。この時間のマクドは不思議な空間だ。少ないけれど確実に存在する常連たち。寝てる人、新聞を広げるおじさん、スマホで何か熱心に調べている若者。みんな静かで、それぞれの朝を過ごしている。その中でボクはいつものようにホットコーヒーを頼んで、一息つく。

でも、今日はちょっと違った。店に入ろうとした瞬間、「システムメンテナンス中」という無慈悲な文字が目に飛び込んできたのだ。いやいや、24時間営業のはずでしょ? なんで今なんだよ、と心の中で軽くツッコむ。でも、そんなツッコミもどこか力が抜けていて、怒る気にもなれない。この時間にマクドに来る自分だってレアケースなのかもしれないし。

結局、マクドの周りをぐるっと一周散歩することにした。冬の空気が肌に冷たく当たるけれど、その冷たさが逆に気持ちをシャキッとさせてくれる。歩いているうちに、目が冴えてきて、「まあ、これはこれで朝活になったか」と思い直した。ボクは少し前向きな自分が、わりと好きだ。

その後、病院へ。診察室に入ると、今日はなんだかいつもと違う。部屋の隅に、見慣れない人物が座っているのだ。インターンじゃなさそうだし、なんだろう? 視線を感じるけど、深く考えても仕方ないかとそのまま診察を受ける。

診断書を受け取ったとき、目に飛び込んできた「前回より悪化」の文字。ボクの心に冷たい水がばしゃんと注がれたようだった。いやいや、悪化ってどういうこと? 最近のボク、むしろ調子がいい気がするんだけどなあ。診断書の言葉は、いつも感情を一切挟まないから、余計に響く。まるで冷え切ったコンクリートの壁を目の前に突きつけられたような気分だ。でも、現実は現実。これを乗り越えるしかない。

午後は役所へ行って、自立支援と障害者手帳の更新手続きを済ませた。こういう手続きって、いつもどこか無機質だ。必要だからやるんだけど、何かが胸に引っかかる。それでも、全て終わらせた後の達成感は悪くない。そして、そのまま地元の理髪店へ向かう。

この理髪店に通い始めたのは最近だけど、居心地が良くて気に入っている。お客さんもみんな顔なじみらしく、店員さんとおしゃべりしながら和やかな時間が流れている。今日は、散髪をせずにただ話をしに来たおじさんがいて、ボクは思わず笑ってしまった。こんな自由な雰囲気の場所がまだあるんだなあ、と少し感動すら覚えた。

そして今日は初めて、店員さんと少し話をした。これまでは特に会話をすることもなかったけれど、思い切って「ここ、なんか落ち着きますね」と話しかけてみた。そこから自然に言葉が続いて、気づけばボクもこの空間の一部になっている気がした。

丸坊主になった頭を撫でながら、ボクは考えた。毎日マクドでの朝活を続けているけれど、こうして少しずつ日常が変わっていくのがわかる。診断書には「悪化」と書かれていたけど、ボクの中では確かに回復の芽が育っている気がする。明日はまた、5時のマクドから始めてみよう。それがボクにとっての、一番のリハビリなんだから。

2024/12/11