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DMひとつで心が揺れた、夢か詐欺か紙一重な“雑誌掲載”の話

インスタの通知がひとつ。

いつもなら猫の写真についた「いいね」か、知り合いのストーリーだけど、今回は違った。
DMだった。

しかも送り主は、ボクがフォローしている海外の写真アカウント。
アーティスティックな構図ばかり載せてて、ボクの心のどこかで「センスってこういうもんだぞ」って言ってくるような、ちょっと気取ったアカウント。

「ん?」と思いながら開いてみると、どうやらそのアカウント、海外で発行されてる雑誌のものらしい。
言われてみれば、アカウント名の最後に“mag”ってついてた。うん、そういうことか。

で、肝心の内容なんだけど。
ボクの写真に興味を持った、と。
そして、25ドル払えば雑誌に載せてあげますよ、とのこと。

……え、そういうシステム?

内心、「いやいやいや」と思いつつ、ちょっとだけ心が揺れたのも事実。
だって雑誌に載るんだよ。ボクの名前と、ボクの写真と、海の向こうのページに。
ちょっといい話っぽいじゃん。

しかもその雑誌のアカウント、フォロワーが数万人いて、それなりに有名っぽい雰囲気。
25ドルは確かに安くないけど、完全に無理って額でもないし。
目立てるチャンスかもなー、なんて思って。

でも、ふと我にかえってアカウントの投稿を見直してみた。
いいね、ほとんど500以下。
あれだけフォロワーがいるのに?

それってつまり、山の上から大声で叫んでも、谷底の誰にも届いてないってことじゃない?
「何万人に届きます」って言ってるけど、実際は自分の部屋でラップしてるくらいの響きしかない。

それにさ。
「あなたの写真に感銘を受けました」って言っておいて、なんでボクが金を払う側になるの?
感銘受けたんなら、せめてタダで載せるくらいの誠意を見せてほしい。

この感じ、詐欺とは言いきれないけど、どうにも“グレー”。
クレヨンで塗った灰色じゃなくて、雨水まじりの洗面台の底みたいな濁り。

まぁ、ビジネスとして成立してるんだろうな、こういうのも。
でもね、夢ってのはスーパーマーケットのレジ袋じゃない。金額を提示されて「あ、買います」ってものじゃないのだ。

DMのスクショでも撮って、「こういうのにはご用心」って投稿しようかとも思ったけど、まあそれはまた今度。
インスタって、華やかに見えて案外、落とし穴が多い世界。
スマホの画面の向こうで、誰かがそっと財布を開けさせようとしてる。

夢を載せる雑誌。
でも、その夢に送料がかかるなら、ちょっと考えちゃうよね。