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元嫁ちゃん、サーモン、ネパール人のレジ──僕のささやかすぎる幸福論。

昨日の夜は、久しぶりに元嫁ちゃんと外食だった。行き先は天ぷら屋。あの人とごはんを食べるのは、なんというか、懐かしいけど居心地のいいソファみたいで。お互いあれこれあったけど、今こうして並んでサクサク音を立てる天ぷらをつまんでいると、まるで長い夢の続きをちょっとだけ覗いてる気分だった。

天ぷらは主役のはずなのに、なぜか一口食べたサーモンの刺身が舞台をさらっていった。とんでもなく甘くて、口の中でとろけて消えるまでに、3つくらい昔の記憶を思い出した。甘いものって、時々タイムマシンみたいなことするから油断ならない。

一人暮らしをしてると、こういう日はご褒美みたいだ。話せる誰かがいて、美味しいものがあって、夜がほんのちょっとだけ早く終わってくれればいいなと思える。そんな日。

で、今日はというと、ネパール人の友達から「レジの設定手伝ってくれない?」って頼まれている。断る理由なんてない。というか、こういうふうに頼られるのが嬉しかったりする。

誰かにとって「いてくれて助かった」存在になれると、なんだか自分の居場所がちゃんと地面にある気がする。ネパールのスパイスみたいにピリッとしてて、でも後からじんわり効いてくる幸福感。そんな1日になりそうな予感。