みんなでご飯へ行った帰りのとある街角で僕たちは少女に呼び止められた。
手にはラミネート加工をされた小さなカードを持っている。
読んでみると
「私は日本へ留学へ来ました。生活が苦しいのでお菓子を買って援助してください。」
と書かれていた。
そして手に抱えた箱を覗くと袋詰めされたお菓子がいくつか入っている。
友達Aは少女と会話を始めた。
「このお菓子ってフィリピンの?フィリピンのなら欲しい。なんぼ?」
友達Bは
「お菓子はいらんから、これ受け取って」
と1000円を渡した。
友達Aは海外や外国の人と触れ合うのが好きな人。
そして別の友達Bは海外に行くと、海外でその場にいる人から良くしてもらう経験が何度かあったので、日本では逆に外国人に優しくすることにしてるそう。
でも僕は、僕より身なりのいい少女を見て援助する気にはなれなかった。僕はヨレヨレでもう色あせてしまってる何年も前にセールで買ったTシャツを着ていた。少女はまだ真新しい色も抜けてない黒いTシャツを着ていたから僕よりお金あるんじゃないかな?って思って。
それに日本に留学へ来れるってことは、それなりのお金を支払う余裕のある家庭だろうし。って考えた。
でも考えてみると、日本での生活の負担をこれ以上実家に頼りたくないって思ってるのかもしれない。負担を減らしたいのかもしれない。
あとになって、これって欧米で言ったら少年・少女が家の前でレモネードを売ってるのと同じなんだよな。とも思った。
場所と売ってる物が違うだけで。
そして、その場所を離れてから友達Bが言った。
「ええやん。騙されたら騙されたで。」
僕はみんなで食事を楽しんだ帰り。外食する余裕があるなら、その額の何分の1かでも分け与えて、活力のみなもとになる美味しい食事を彼女に取ってもらうべきだったなって後悔してる。