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「焼け石に水」でも飛行機は飛ぶのだ、機内食とLCCとボクの話

来月、元嫁ちゃんがベトナムに旅立つらしい。

「へぇ〜」とか言いながら、ボクはお財布を見て深いため息をついた。海外旅行かぁ、いいなぁ。でも今のボクには、その選択肢はない。なぜなら、金欠。絶望的に。

それにしても、みんな海外旅行がほんと好きだよね。あの飛行機の辛さにまで耐えて行くんだから、よっぽどの魅力があるってことなんだろうな。ボクもそれは重々わかってるつもり。実際、行ってしまえばそれだけの価値があるのも知ってる。ただ、やっぱりエコノミーはねぇ……狭い、動けない、足がしびれるの三重苦。なんであんな試練を乗り越えなきゃいけないのかって、毎回ちょっと思う。

電車でもバスでも、長時間座ってることはあるけど、飛行機はなんか違う。なんか…こう、ジワジワくるんだよね。背中からじんわりと疲労が染み出すような、あの座席の硬さ。柔らかい板に腰掛けてるみたいな謎の感触。きっと地球の重力のせいだけじゃない気がする。

でも、そんな飛行機にも楽しみはある。
それが――機内食。まるで地獄に差し込む非常口のランプみたいな存在。味がどうとかじゃないんだ。あの空間において、出された食事は“救済”。なんか温かいごはんが出てくるってだけで、涙ちょちょぎれそうになる。

そう考えると、機内食を「好き」って言う人の気持ち、ちょっとわかる気がする。環境って、食べ物の価値を引き上げるんだな。砂漠のオアシス効果というか、もうあれは条件付きでの奇跡。

それでもやっぱり飛行機はきつい。だからこそ、世の中には“機内快適グッズ”なるものが大量に存在する。ネックピローとか、指に挟む謎のクッションとか、アイマスクとか。どれも「これで君も快適空の旅!」みたいな顔して売られてる。でも、正直、焼け石に水ってやつでしょ、あれ。

まぁ、快適さを求めるならビジネスクラスに乗ればいい話なんだけど、そこは“現実”って名の分厚い壁。そしてボクは大体がLCC。LCCは安さが命。モニター? Wi-Fi? 何それ?って感じ。スマホで映画観る余裕すらない。ただひたすら、時間と体力を削るゲーム。

それにさ、LCCって「シートが狭い」ってみんな言うけど、ボクからすれば疑問。だって横幅は大体レガシーキャリアと一緒。違うのは、膝から前の席までの距離だけ。それだけでみんな狭いって言ってる。人間の感覚って不思議。ボクはレガシーもLCCも平等に狭いけど。

だけどね、飛行機の世界はしっかりと金額に比例して快適になるように設計されている。上を見れば半個室みたいなビジネスクラスとか、寝れるフルフラットシートとか。まるで金持ちの温泉旅館。夢のまた夢。

でもボク、夢は見るタイプ。FXで大儲けして、次はあのベッドになる席に寝そべって空を飛ぶ予定。
現実はチープなLCCだけど、心の中はビジネスクラス級の野望でいっぱいなのだ。