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焦りと痛みと突き刺さる指。ボクの金曜は医学の洗礼だった。

昨日は、朝から心の中に警報が鳴りっぱなしだった。

トイレで目にした赤いアレを見た瞬間、脳内がサイレン状態。血便。ガチのやつ。ボク、ついに寿命かもしれない、って5秒くらい本気で思った。

病院に駆け込んで、あれこれ調べてもらったんだけど、ひとまず命には別状なしらしい。
そう言われて、心の中にちっちゃい花がぽんと咲いた。ホッとしたんだけど、検査の中に「CT」と「血液検査」が含まれてたのがちょっと意外だった。血液検査で腸の出血がわかるって、何その現代の錬金術。なんか、体が全部、透けて見えてるみたいでこわい。

でもね、ここからが本番だったんだ。

「触診しますね〜」の一言で、地に足ついてたボクの精神が、グラグラ揺れ出した。
医師の指が、あらゆる遠慮を置き去りにしてボクの肛門へズドン。
あれ、音速より速かったと思う。痛みと衝撃で、ボクの体は完全にアコーディオン状態。びよんびよんに縮んだわ。

ああいうときって、もう、医者とか患者とか、そういう概念が全部消えるのね。
ただ「入れる側」と「入れられる側」しかないのよ、あの世界。

そして、ありがたいことに「異常なさそうですね」とのこと。
とはいえ、念には念を、ってことで今度内視鏡検査を受けることになった。
この「念には念を」ってやつが、だいたい厄介ごとの元だよね。

しかも内視鏡検査、よりによってベトナムフェスの翌日なんだよね。
本当はボク、ベトナムの何とか鍋とか、意味もなくカラフルなドリンクとか、フォーとかバインミーとか何かを浴びるように楽しむ予定だったのに検査前は食事制限があるんだって。

ボクの胃袋の夢が、紙飛行機みたいに風にさらわれて、空の向こうに飛んでった。
もうちょっと早く予定組んでおけばよかったなって、ちょっぴり反省。

そんな感じで、ボクの金曜日は終わった。
血と痛みと、ちょっとした脱力。
これが大人になるってことなのかもしれない。知らんけど。