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なれのはてになる。そういう暮らしもいいよね。

2022/12/25

なれのはて』っていうドキュメンタリー映画を名古屋で見たんですよね。けっこう前だけど。フィリンピンのスラム街に暮らす4人の帰国を諦めた困窮邦人の話。今回はこの映画の話を。

ネタバレあるので嫌な人は読まないでね。

映画なれのはて予告動画

『なれのはて』ってどんな映画?

この映画はフィリピンで暮らす4人の男達の日常を追うドキュメンタリー映画。登場人物は4人の日本人で、それぞれが日本への帰国を諦めフィリピンのスラム街で暮らしています。登場人物は、一人は元証券マン。一人は元ヤクザ。一人は元警察官。一人は元ドライバー。それぞれの事情があってフィリピンのスラム街に暮らすようになったみたい。みんな口をそろえて言うのが、「日本はツライ」「日本はしんどい」

劇中の印象的なセリフ

セリフの中で印象に残ってるのは

なれのはて 印象的なセリフ2つ

元ヤクザの登場人物のセリフ
「〇十年ぶりに日本に帰ったんだ。そこで感じたのは日本ってこんなに冷たかったんだ。俺はとてもじゃないけど日本では生きていけねえって思ったよ」

そして別の誰だったかのセリフ
日本ではお金もあったし家族もいたけど、幸せを感じたことが無かった。でも今は幸せ

てセリフ。記憶が定かじゃないので正確には違うと思うけど、大体こんな感じのことを言っていました。

登場人物のフィリピンでの生活環境

元ヤクザの人なんて自転車屋の屋根の下の通路みたいなところに間借り?して住んでるだけの環境。雨が降ると浸水する。ねずみとかと一緒に暮らしている。何も持ってない。ただ外に出れば町には人がいて近所の人と話を交わす。それだけのところ。でも日本よりフィリピンのスラムが好きなんだそうだ。

ある人はジープニー(乗合バスみたいなの)の呼び込みの仕事で、役人に賄賂を渡すと手元に残る日収は数十円。それでもフィリピンのスラムが幸せだという。

なんてか、考えるよね。そんなに深くは考えないけど。この人達の感じる幸せってどんなだろうって。負けたくないから、自分の人生に意味を持たせたいから幸せと言ってるのかもしれないし、本当に幸せなのかもしれないけど。

でも、いいなあ幸せそうだなあって思う事はいくつかあった。

大切なのは写っていないところ

映画 なれのはて のフィリピンのスラム街でのワンシーン
画像引用:なれのはて公式サイト

この映画の登場人物は日本と比べると過酷な生活環境で生活しているのは先ほど書いた通り。

でも日本には帰らずにフィリピンのスラムで暮らす。その理由はフィルムには写っていないことにあるんだろうと思った。

たとえば人との交流。誰かが自分に声をかけてくれる。

これだけで、本当に気分って変わる。僕も一人で暮らしているけど、生活圏で誰かから声を掛けられることなんてほぼ無い。あるとすれば、近所の人からテンプレみたいな言葉だけ。

今はいなくなってしまった人だけど、気のいいおっちゃんが近所にいた。この人は僕を見かけるとよく声をかけてくれて、少し話してくれた。

ほんと、これだけでその日の気分が変わるんですよね。

このフィリピンののスラムの映像からは住民の声が絶えず聞こえてた。それが一つの答えだろう。

僕が感じるアジアと日本の違い

ただ、僕はフィリピンには行ったことはないけど、アジアが好きでたまにアジアにでかける。そこで感じるのは人が人らしいなって思う事。

昼間から路上でカードゲームしてたり、街の中で色んな人がそこらへんでお喋りしてたり、泣いてる人いたり、笑ってる人いたり、怒ってる人いたり。パジャマで出歩いてる人や、汚いタンクトップをまくり上げて歩いてる太ったおじさん。もちろんぼったくりに勤しんでる人や、スリをしようとしている人なんかもいる。スマホゲームに夢中の店員に声を掛けると不機嫌になられたりする。

それらまとめて全部が人間臭くていい。まあ、僕はたかが旅行者なんで住んでみると全然違うんだろうし、単に「隣の芝生は青く見える」んだろう。

でも日本ってゾンビが多く暮らしてる街だなってやっぱり思う。街での歩き方からして違うよね。

話を「なれのはて」に戻すと、撮影期間は3年くらいだったのかな?この3年間の間に4人の登場人物のうち3人が死んじゃった?2人だっけな?まあ劣悪な環境だからなんだろうな。衛生環境悪いし、お金無いからろくなもの食べてなさそうだったし。

死因は全員なんらかの病気だった。みんな日本ならまだまだ元気で生きれたんだろうなって年齢。ま、でも本人たちは幸せだったんだろう。ならいいんじゃね?的な気はする。

幸せってなんかな?

ちょっと考えた。考えて追記。この4人の男たちのの幸せについて。

なにって、部屋を出て町で腰をおろし、一緒に呑んで笑って食って、誰かの笑い声、怒る声、悲しむ声、つまりは生きてる町が生み出す町の喜怒哀楽に包まれて暮らすことが幸せなのかなって。自分も町っていう生き物の一員で。それに連れ合うパートナーがいる人もいるし。一緒にご飯を食べてるだけでそれは幸せな事だと思う。

年金でアジアのスラム暮らしもいいんじゃね?

で、思ったのはこういう道もありかってこと。将来年金もらって物価の安い国のスラム暮らし。ていうかわりかし好きだからね。そういうの。

アジアでの貧乏暮らしは「シックスサマナ」っていうアジアのアングラ雑誌にも載ってて読んだりするんだけど、シックスサマナに載ってる話はまあ、幸せそうじゃないけどね。

ただ、どうやってスラムなんかに潜り込めばいいんだろうね。ま、何も考えなくていいのかな。なれのはてなんて転がって辿り着くことだから。