夢は小さくなったんやない。近くなった。
昨日、おかんと一緒に『スター・ウォーズ』の最新作を観に行った。
映画の終盤やったと思う。
アンゼランいう小さい種族がおるんやけど、そのキャラクターが戦いのあとに、
「今日の最初の一杯は俺のおごりだ」
みたいなことを言うシーンがあった。
その瞬間やった。
「ああ、俺、こんな人になりたいな」
って思った。
別に強い戦士とか、英雄とかやない。
なんか気のええおっちゃんや。
映画を観ながら思い出したんは、昔近所におったおっちゃんやった。
特別仲が良かったわけやない。
人生相談したこともないし、何か助けてもらったこともない。
ただ、会ったらいつも笑顔で、
「おー、最近どうしてんねん」
とか、
「なんや、楽しそうやんけ」
とか言うてくれる。
声も普通。
服も普通。
近所をぶらぶらしてるだけのおっちゃん。
でも、そのおっちゃんを見かけると、こっちから自然と近づいていってた。
「あ、おっちゃんや」
と思って。
離れたところで目が合ったら、
「おー」
みたいな感じになる。
ほんで、ちょっと世間話して、
「ほなまたな」
で終わる。
ただそれだけや。
でも不思議なことに、昨日映画を観ながら思い出したんは、そのおっちゃんやった。
考えてみたら、若い頃の夢は全然違った。
バンドで売れたいとか。
有名になりたいとか。
認められたいとか。
そんなことばっかり考えてた。
なんでか言うたら、たぶん大きなことをせな価値がないと思ってたからやと思う。
たくさんの人に知られて。
たくさんの人に認められて。
お金も稼いで。
そういうのが価値やと思ってた。
でも今は違う。
近所で会った人に、
「元気か?」
って声かけることにも価値があると思う。
むしろ、そっちのほうが大事なんちゃうかと思うこともある。
だって、あのおっちゃんは何かすごいことをしたわけやない。
誰かを救ったわけでもない。
有名でもない。
でも俺は今でも覚えてる。
会うとなんか楽しくなった。
ちょっと元気になった。
自然と笑顔になった。
たぶん、人の役に立つってそういうことなんやろなと思う。
昔は、人の役に立ついうたら、大きな成果とか、大きな成功とかやと思ってた。
でも今は違う。
笑顔で挨拶するとか。
相手を気にかけるとか。
世間話するとか。
そんな小さいことで十分なんかもしれへん。
年齢を重ねると、夢って変わる。
昔は遠くにあった。
ステージの上やったり、テレビの向こう側やったり。
でも今は違う。
だんだん近くなってくる。
半径3メートルぐらいの世界になってくる。
夢は小さくなったんやない。
近くなったんや。
もし今、そのおっちゃんに偶然会っても、
「あんたみたいになりたいねん」
とは言わへんと思う。
なんか違うねんな。
そんな特別な関係やなかったし。
きっと、
「おー、元気か」
「最近どうしてんねん」
って話して、
「ほなまたな」
で終わる。
それで十分や。
でも心の中では思ってる。
俺もいつか、
誰かにとっての、ああいう気のええおっちゃんになれたらええなって。