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雨宿りとホテル料理と下剤忘れた土曜日のベトナムフェスティバル

雨ってのは、気まぐれで意地っ張りで、時々ドラマチックな演出家でもある。

昨日はそんな雨に振り回されながら、元嫁ちゃんとベトナムフェスに行ってた。

行きの車では、そこまで降ってなかった。けど、現地に着いたとたん、空の蛇口がいきなり全開になる。遠くで神さまが「フェスやるならシャワーもどうぞ」って笑ってる気がした。
でもまあ、どうにかなるもんで、適当な屋根を見つけて、ちょっとした雨宿りしながらご飯を食べてた。フォーの湯気が、雨と一緒に空に吸い込まれていくのを見てると、それはそれで悪くなかった。

会場は、今年は鶴見緑地公園。いつもは大阪城公園なんだけど、万博関連で使えなくなったらしい。そんなわけで、今里のベトナム人街からも遠くなり、人の数もぐっと少なめ。例年のワチャワチャした賑わいが、今年はだいぶ静かになってた。
お祭りというより、雨の中でこっそり開かれた秘密の食いしん坊会。そんな感じ。

でもね、今年のフェスには、ちょっと嬉しいサプライズがあった。
ベトナムの高級ホテルが、ゴソッと飲食ブースを出してたのだ。これが良かった。いや、マジで。
いつもの屋台は、たいてい「知ってる味」だらけなんだけど、ホテルブースはちがう。見たことも聞いたこともないようなベトナム料理が並んでて、食べるたびに脳内に地図が増えていく感覚。口の中が旅をしてた。たとえば、バインセオじゃない何か。フォーじゃない何か。何かよくわからんけど、おいしいやつら。そういう未知との遭遇。

しかも、値段がホテルっぽくない。ちゃんと屋台価格。これはもう、胃袋が大喜び。

そんな中、ベトナム航空の抽選会にもふらっと立ち寄ってみたら、なぜかトートバッグが当たった。こういうのって、だいたい「外れる前提」で引くものだから、当たるとちょっとびっくりする。しかも、なんか使えそうなデザイン。うん、悪くない。
誰かの仕業かと思ったら、たぶん旅の神さまが「お前、そろそろまたベトナム行け」って背中を押してきたんだと思う。

そんな感じで15時にはフェスを後にして、元嫁ちゃんの家へ。そこからは、おきまりの家呑みタイム。昔はケンカばっかしてたのに、今はなんとなく平和な酒が飲める。不思議なもんだ。気がつけば22時。気がついたら、寝てた。

そして、朝。やっちまった。

下剤、飲み忘れてた。
内視鏡検査が月曜にあるっていうのに。慌てて冷蔵庫の横から引っ張り出して、ゴクリと一気。胃袋の中で、昨日のベトナムが慌てて荷造りしてるような感覚。何もかもがバタバタしてる。

祭りのあとってのは、なんでこんなに現実が濃いんだろう。
土曜のベトナムの香りと、月曜の医療の匂い。そのコントラストが、まるで夢から起きた直後みたいだった。

人生って、フェスみたいにごちゃまぜがちょうどいい。
雨とフォーと抽選と、そしてちょっとした忘れもの。そんな土曜日。